森の中を歩いている。
クマザサの音が心地よい。
顔を上げると、少し離れた先に光が落ちていた。限定的な閉ざされた空間を、スポットライトのように照らしている。光が意思を持ってそこにいるかのように、木と戯れていた。本来ならばなんということも無い、森を歩いていればいくらでも遭遇する光景だ。
だが、この時は無視する事ができずにカメラを構えた。奥の光だけを切り取ってしまったら、この感動は伝わらないだろう。手前のクマザサを入れ、手前から奥に向かって光の階段を取り入れて構成した。陰と光を緻密に組み合わせることにより、最も見せたい部分に視線を誘導する事ができる。上記を意識し、美しい森の一部を空間として切り取った。